るいようしょうま (類葉升麻)

学名  Actaea asiatica
 (A.acuminata subsp.asiatica, A.spicata var.asiatica)
日本名  ルイヨウショウマ
科名(日本名)  キンポウゲ科
  日本語別名  
漢名  類葉升麻(ルイヨウショウマ, lèiyè shēngmá)
科名(漢名)  毛茛(モウコン,máogèn)科
  漢語別名  
英名  
2008/05/08 箱根湿生花園

 漢名の升麻(ショウマ,shēngmá)は、元々は古くから用いられてきた草薬の名である。
 『本草綱目』に、「其の葉 麻に似て、其の性 上升す。故に名づく」とある。

 今日の中国で、升麻と呼んで薬用に供する草薬は、キンポウゲ科ルイヨウショウマ属 Actaea の次の植物の根茎又は根である(〇印は正品)。 『全國中草藥匯編 上』pp.219-220

  〇フブキショウマ A. dahurica(Cinicifuga dahurica;興安升麻・北升麻)
  〇ショウマ A. cimicifuga(Cimicifuga foetida;升麻・綠升麻)
  〇オオミツバショウマ A. heracleifolia(Cimicifuga heracleifolia;大三葉升麻・關升麻)
   サラシナショウマ A. simplex(Cimicifuga simplex;單穗升麻)

 なお、ここに見るとおり、升麻という語は 植物種として Actaea cimicifuga(Cimicifuga foetida)を意味することがある。   
 和名のショウマは、今日では 漢名の升麻を踏襲している。
 則ち、薬名としては「Cimicifuga dahurica, C.heracleifolia, C.foetida 又はサラシナショウマ C. simplex の根茎である」(第十八改正日本薬局方)。また植物種としては Actaea cimicifuga (Cimicifuga foetida;升麻)を指す(YList)。  
 漢土において升麻という言葉が定着したのち、升麻と同様の或は似た薬効を持つ植物を○○升麻と呼び、さらに それらに外見が似た植物をも○○升麻と呼ぶようになった。

 今日では、漢名を「○○升麻」、或は和名を「〇〇ショウマ」と呼ぶ植物には、次のようなものがある。

  キンポウゲ科 Ranunculaceae(毛茛 máogèn 科)
    ルイヨウショウマ属 Actaea(類葉升麻 lèiyè shēngmá 屬)の植物。

  ユキノシタ科 Saxifragaceae(虎耳草 hŭĕrcăo 科)
    チダケサシ属 Astilbe(落新婦 luòxīnfù 屬)の植物

  バラ科 Rosaceae(薔薇 qiángwēi 科)
    ヤマブキショウマ属 Aruncus(假升麻 jiăshēngmá 屬)の植物
     
 ルイヨウショウマ属 Actaea(類葉升麻 lèiyè shēngmá 屬)には、北半球に約30種がある。
   〔サラシナショウマ属 Cimicifuga(升麻 shēngmá 屬)を独立させることがある。〕

  ルイヨウショウマ A. asiatica(A.spicata var.asiatica, A.acuminata subsp.asiatica;
         類葉升麻・綠葉升麻)
 『中国本草図録』Ⅵ/2580
  コサラシナショウマ A. austrokoreana(Cimicifuga austrokoreana)
朝鮮南部産
  A. bifida(Cimicifuga bifida)
朝鮮産
  イヌショウマ A.biternata(Cimicifuga biternata;三葉升麻)
  A. brachycarpa(Cimicifuga brachycarpa;短果升麻・川升麻・西升麻) 雲南産
  ショウマ A. cimicifuga(Cimicifuga foetida;升麻・綠升麻)
         
河南・山西・湖北・陝甘・青海・四川・雲南・チベット・モンゴリア・シベリア産 
         
『雲南の植物Ⅱ』56・『中国本草図録』Ⅱ/0556・『週刊朝日百科 植物の世界』8-236
  フブキショウマ A. dahurica(Cinicifuga dahurica;興安升麻・北升麻)
         『中国本草図録』Ⅳ/1619
  アカミノルイヨウショウマ A.erythrocarpa(A.spicata var.erythrocarpa;
         紅果類葉升麻)
『中国本草図録』Ⅳ/1616
         日本・朝鮮・華北・東北・極東ロシアから北欧迄,歐亞北部に産
    シロミノルイヨウショウマ f. leucocarpa
  オオミツバショウマ A. heracleifolia(Cimicifuga heracleifolia;大三葉升麻・關升麻)
         
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア産 『中国本草図録』Ⅰ/0057  
  オオバショウマ A. japonica(Cimicifuga japonica, C.jpaponica var.macrophylla,
         C.acerina var.macrophylla, C.acerina;小升麻・金龜草・帽辮七)
    キケンショウマ var. peltata(Cimicifuga acerina var.peltata)
         
本州(東京・長野~滋賀)産
  ヤマショウマ A. matsumurae(Cimicifuga smplex var. matsumurae, C.matsumurae)
  A. nanchuanensis(Cimicifuga nanchuanensis;南川升麻)
  サラシナショウマ A. simplex(Cimicifuga simplex, A.cimicifuga var.simplex,
         C.foetida var.simplex, A.yesoensis;單穗升麻)
  タイワンサラシナショウマ A. taiwanensis(Cimicifuga taiwanensis)
臺灣産
  A. vaginata(Souliea vaginata;長果升麻・太白黃連・黃三七・野黃連)
          
陝甘・青海・四川・雲南・チベット・ヒマラヤ産 『週刊朝日百科 植物の世界』8-236 
         『全国中草葯匯編』上/755
  A. yunnanensis(Cimicifuga yunnanensis;雲南升麻)
   
 
 キンポウゲ科 Ranunculaceae(毛茛 máogèn 科)の植物については、キンポウゲ科を見よ。
 「和名ハ類葉升麻ニシテ其葉狀宛モ升麻葉ニ類似スレバ云フ。」なお「升麻ハさらしなしょうまヲ指ス」と(『牧野日本植物図鑑』)。
 筆者(嶋田)曰:小生には"類葉升麻"という言葉自体を理解することが難しいが、"葉しか似ていない升麻もどき"と理解すれば、当らずといえども遠からず、か。  

 漢名「類葉升麻」は、『植物學大辭典』(1918)に初出、和名の輸入か。
("類葉"という語自体日本製か)。  
 北海道・本州・四国・九州・朝鮮・極東ロシア・黑龍江・吉林・遼寧・内蒙古・河北・山西・陝甘・青海・湖北・四川・雲南・チベットに分布。
   

跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
クサコアカソウ シュロソウ スハマソウ イワチドリ チダケサシ 跡見群芳譜トップ 野草譜index