るいようしょうま (類葉升麻)
学名 |
Actaea asiatica
(A.acuminata subsp.asiatica, A.spicata var.asiatica) |
日本名 |
ルイヨウショウマ |
科名(日本名) |
キンポウゲ科 |
日本語別名 |
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漢名 |
類葉升麻(ルイヨウショウマ, lèiyè shēngmá) |
科名(漢名) |
毛茛(モウコン,máogèn)科 |
漢語別名 |
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英名 |
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辨 |
漢名の升麻(ショウマ,shēngmá)は、元々は古くから用いられてきた草薬の名である。
『本草綱目』に、「其の葉 麻に似て、其の性 上升す。故に名づく」とある。
今日の中国で、升麻と呼んで薬用に供する草薬は、キンポウゲ科ルイヨウショウマ属 Actaea の次の植物の根茎又は根である(〇印は正品)。 『全國中草藥匯編
上』pp.219-220
〇フブキショウマ A. dahurica(Cinicifuga dahurica;興安升麻・北升麻)
〇ショウマ A. cimicifuga(Cimicifuga foetida;升麻・綠升麻)
〇オオミツバショウマ A. heracleifolia(Cimicifuga heracleifolia;大三葉升麻・關升麻)
サラシナショウマ A. simplex(Cimicifuga simplex;單穗升麻)
なお、ここに見るとおり、升麻という語は 植物種として Actaea cimicifuga(Cimicifuga foetida)を意味することがある。
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和名のショウマは、今日では 漢名の升麻を踏襲している。
則ち、薬名としては「Cimicifuga dahurica, C.heracleifolia, C.foetida 又はサラシナショウマ C.
simplex の根茎である」(第十八改正日本薬局方)。また植物種としては Actaea cimicifuga (Cimicifuga foetida;升麻)を指す(YList)。 |
漢土において升麻という言葉が定着したのち、升麻と同様の或は似た薬効を持つ植物を○○升麻と呼び、さらに それらに外見が似た植物をも○○升麻と呼ぶようになった。
今日では、漢名を「○○升麻」、或は和名を「〇〇ショウマ」と呼ぶ植物には、次のようなものがある。
キンポウゲ科 Ranunculaceae(毛茛 máogèn 科)
ルイヨウショウマ属 Actaea(類葉升麻 lèiyè shēngmá 屬)の植物。
ユキノシタ科 Saxifragaceae(虎耳草 hŭĕrcăo 科)
チダケサシ属 Astilbe(落新婦 luòxīnfù 屬)の植物
バラ科 Rosaceae(薔薇 qiángwēi 科)
ヤマブキショウマ属 Aruncus(假升麻 jiăshēngmá 屬)の植物
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ルイヨウショウマ属 Actaea(類葉升麻 lèiyè shēngmá 屬)には、北半球に約30種がある。
〔サラシナショウマ属 Cimicifuga(升麻 shēngmá 屬)を独立させることがある。〕
ルイヨウショウマ A. asiatica(A.spicata var.asiatica, A.acuminata subsp.asiatica;
類葉升麻・綠葉升麻) 『中国本草図録』Ⅵ/2580
コサラシナショウマ A. austrokoreana(Cimicifuga austrokoreana) 朝鮮南部産
A. bifida(Cimicifuga bifida) 朝鮮産
イヌショウマ A.biternata(Cimicifuga biternata;三葉升麻)
A. brachycarpa(Cimicifuga brachycarpa;短果升麻・川升麻・西升麻) 雲南産
ショウマ A. cimicifuga(Cimicifuga foetida;升麻・綠升麻)
河南・山西・湖北・陝甘・青海・四川・雲南・チベット・モンゴリア・シベリア産
『雲南の植物Ⅱ』56・『中国本草図録』Ⅱ/0556・『週刊朝日百科 植物の世界』8-236
フブキショウマ A. dahurica(Cinicifuga dahurica;興安升麻・北升麻)
『中国本草図録』Ⅳ/1619
アカミノルイヨウショウマ A.erythrocarpa(A.spicata var.erythrocarpa;
紅果類葉升麻) 『中国本草図録』Ⅳ/1616
日本・朝鮮・華北・東北・極東ロシアから北欧迄,歐亞北部に産
シロミノルイヨウショウマ f. leucocarpa
オオミツバショウマ A. heracleifolia(Cimicifuga heracleifolia;大三葉升麻・關升麻)
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア産 『中国本草図録』Ⅰ/0057
オオバショウマ A. japonica(Cimicifuga japonica, C.jpaponica var.macrophylla,
C.acerina var.macrophylla, C.acerina;小升麻・金龜草・帽辮七)
キケンショウマ var. peltata(Cimicifuga acerina var.peltata)
本州(東京・長野~滋賀)産
ヤマショウマ A. matsumurae(Cimicifuga smplex var. matsumurae, C.matsumurae)
A. nanchuanensis(Cimicifuga nanchuanensis;南川升麻)
サラシナショウマ A. simplex(Cimicifuga simplex, A.cimicifuga var.simplex,
C.foetida var.simplex, A.yesoensis;單穗升麻)
タイワンサラシナショウマ A. taiwanensis(Cimicifuga taiwanensis) 臺灣産
A. vaginata(Souliea vaginata;長果升麻・太白黃連・黃三七・野黃連)
陝甘・青海・四川・雲南・チベット・ヒマラヤ産 『週刊朝日百科 植物の世界』8-236
『全国中草葯匯編』上/755
A. yunnanensis(Cimicifuga yunnanensis;雲南升麻)
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キンポウゲ科 Ranunculaceae(毛茛 máogèn 科)の植物については、キンポウゲ科を見よ。 |
訓 |
「和名ハ類葉升麻ニシテ其葉狀宛モ升麻葉ニ類似スレバ云フ。」なお「升麻ハさらしなしょうまヲ指ス」と(『牧野日本植物図鑑』)。
筆者(嶋田)曰:小生には"類葉升麻"という言葉自体を理解することが難しいが、"葉しか似ていない升麻もどき"と理解すれば、当らずといえども遠からず、か。
漢名「類葉升麻」は、『植物學大辭典』(1918)に初出、和名の輸入か。("類葉"という語自体日本製か)。 |
説 |
北海道・本州・四国・九州・朝鮮・極東ロシア・黑龍江・吉林・遼寧・内蒙古・河北・山西・陝甘・青海・湖北・四川・雲南・チベットに分布。 |
誌 |
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